フリーラジカルと抗酸化栄養補助食品
今私たちはフリーラジカルの害について真剣に考えなければならない時代に生きています。日本語では「活性酸素」という言葉が使われ、フリーラジカルと別のように考えられていますが、フリーラジカルの主役が「活性酸素」であり、フリーラジカルを「遊離基」という言葉で表現していますが、ここでは「フリーラジカル」という言葉に統一して話を進めていきます。鉄を空気にさらせぱ錆びてきます。またバターを空気にさらせば黄色に変色し、りんごも切ったままにしておけば茶色くなります。これらはみんな空気中の酸素の影響で、その結果酸化して有害物質になることがあります。
地球上の生物のほとんどは酸素なしでは生きていけません。ですから酸素の恩恵についてはだれでもが知っています。私たちの体はある点では車のエンジンと同じです。エンジンは酸素と燃料を混ぜ合わせてエネルギーを放出します。私たちのからだも吸う空気が食べ物に結びついてエネルギーを作ります。そのおかげで体を動かしたり、考えたり、新しい細胞を作り出したりできるのです。ですから酸素は私たちの生命維持の基本の一つなのです。しかしよい酸素がすべてではありません。ある種の酸素分子はフリーラジカルという破壊的な生化学物質に変換されます。
このフリーラジカルを簡単に説明すると、通常2個あるべき酸素分子の電子が1個になり、非常に不安定な酸素分子となり、正常な電子を2個持ってる酸素分子から電子を1個奪い、その分子をフリーラジカルに仕立て、次々と迎鎖反応を起こします。そして細胞膜を攻撃し、細胞に突然変異を起こさせます。このフリーラジカルは、ある程度は酸素が細胞の代謝に使われる時に発生し、体内の
酵素の働きを助けたり、体内に侵入してくる微生物を破壊するともいわれ、普通は体内にはこれらのフリーフジカルを中和するスカベンジャーがあります。これらの物質はフリーラジカルの電子を結合することによって中和しますが、ある種の
酵素がこの重要な働きをします。
フリーラジカルを中和する重要な四つの
酵素には、スーパーオキサイド.ジスムターゼ(SOD)、メチオニンレダクターゼ、
カタラーゼ、そしてグルタチオンパーオキシダーゼがあります。
問題は、現在、私たちの生活で普通の代謝によって発生する以外に、体外から多くのフリーラジカルが侵入してくるようになり、からだに本来備わっているこれらの
酵素だけでは処理できなくなってきています。例えば、食品中の脂肪、スモッグ、車の排気ガス、たばこの煙、放射線や化学物質などがその原因になります。
脂肪の多い食事はフリーラジカルの活動を増やしますが、それは炭水化物やたんぱく質分子を酸化するよりも簡単に脂肪分子を酸化するからです。揚げ物など、高温で調理した脂肪の多い料理は大量のフリーラジカルを生み出します。
体内に危険な量のフリーラジカルがあると、細胞内の遺伝子コードの配列を変えてしまいます。たんぱく質の構造の変化は、たんぱく質の合成の間違いの結果によって発生します。体の免疫システムはこの変えられたたんぱく質を異物として判断し、それを破壊しようとします。変化したたんぱく質の形成は最終的に免疫システムを破壊し、白血病やほかの種類の
ガンや、心臓血管病、アルッハイマー病、
パーキンソン氏病、リューマチなどの病気の原因になります。遺伝物質に害を加えることに加えて、フリーラジカルは細胞を保護している膜を破壊します。フリーラジカルの形成はまた細胞内の水分の増加につながり、これが老化の過程に関係します。体内の
カルシウムの量も同じように混乱してしまいます。
最近このフリーラジカルによる害の研究が非常に多く行われてますが、結論として、体内に抗酸化栄養素や物質を多く取り入れることが重要になってきました。多くの栄養素が抗酸化物質としての働きをします。
ビタミンA、C、E、そして
セレニウム、
亜鉛などのミネラル類などです。
ガンの予防にこれらのビタミンやミネラルが取りあげられるのもフリーラジカルとの関連からです。環境汚染が進む現代社会で、この汚染物質によって発生するフリーラジカルから私たちのからだを守る方法、すなわち、抗酸化栄養素の大量摂取の必要性がはっきりしてきたのです。
抗酸化栄養素
現在アメリカでは栄養補助食品を使用する熟年以上の人や、スポーツ選手に、抗酸化物質の摂取が多くなっていて、その伸長率は注目されています。抗酸化栄養素として販売されている補助食品のいくつかを見てみましょう。
| ビタミンAとβ‐カロチン |
ビタミンAと、その前駆体であるβ-カロチンは強力なフリーラジカルのスカベンジャーです。ビタミンAはまた健康な皮膚と粘膜に必要で、侵入してくる微生物や毒素に対するからだの最前線の防御線で、免疫反応を促進します。β-カロチンとビタミンAは発ガン性物質を破壊し、心臓病や卒中から守り、コレステロールのレベルを下げます。
 |
| ビタミンC |
ビタミンCは抗酸化物質であるとともに、ビタミンEなどのほかの抗酸化物質を守ります。しばしばフリーラジカルの害を受ける脳や脊椎の細胞は、相当量のビタミンCによって守れます。ビタミンCは、バイオフラボノイドのヘスペラジンと一緒になると、強力なスヵベンジャーとして働きます。抗酸化作用のほかにもビタミンCは多くの有害な物質を解毒し、免疫の重要な働きをします。これはからだによって作られる自然の抗ウイルス物質であるインターフェロンの合成を増やし、ある種の重要な免疫細胞の活動を強めます。
 |
| ビタミンE |
ビタミンEは強力な抗酸化物質として、脂質で構成されている細胞膜の酸化を防ぎます。ビタミンEはまた酸素の利用を促進して免疫反応を良くし、フリーラジカルの害によって起きる白内障を防ぐ重要な働きをし、また心臓動脈疾患の危険を減らします。血液中のビタミンEの量を正常に保つためには亜鉛が必要である、という新しい研究結果も発表されています。セレニウムはビタミンEのとり込みをよくするので、これらの二つは一緒にとるべきです。
 |
| セレニウム |
ビタミンEとともに働きますが、セレニゥムは、グルタチオン・パーオキシダーゼ(それぞれの酵素分子にはセレニウム原子が4個含まれます)などの大切な酵素に欠かせません。この酵素は体内の有害な過酸化水素を捕らえてそれを水に変換させます。これは特に血液細胞と心臓、肝臓、そして肺を守る重要な栄養素です。セレニウムはまた感染に反応する抗体を刺激して増やします。
 |
| 亜鉛 |
それ自身が抗酸化作用の性質をもっていますが、亜鉛はまた抗酸化酵素のスーパーオキサイド・ジスムターゼ(SOD)の構成物質でもあります。これは血中のビタミンEの正しいレベルを維持するのにも必要とされ、またビタミンAの吸収を助けます。このミネラルのほかの重要な働きには分泌腺と生殖システムの健康を促進し、また免疫システムの正しい働きを助けます。
 |
| スーパーオキサイド・ジスムターゼ(SOD) |
SODは酵素です。健康なからだはそのパートナーの触媒とともに、毎日約500万単位のSODを作ります。SODは細胞を再生させ細胞の退化を防ぎます。もっとも一般的なフリーラジカルであるスーパーオキサイドを取り除きます。年齢とともにこのSODの合成は減っていきますので、最近、老化を防ぐためにSODが人気を集め始めています。SODのカブセルの形の補給食品は、必ずエンテリックコーティングされていなければなりません。胃酸によって破壊されずに小腸に入って吸収されなければならないからです。補給食品は500万単位、またはそれ以上のものをお勧めします。自然のものでは大麦の若い葉、ブロッコリー、キャベツ、緑色野菜などに多く含まれています。
 |
| コエンザイムQ10(CoQ10) |
コエンザイムQ10(CoQ10)はビタミンEに似た抗酸化物質です。これはまた細胞内でのエネルギーの発生に重要な働きをします。またかなりの免疫刺激剤として循環を良くし、老化防止の効果もあり、心臓血管システムにも効果があります。
 |
| システイン |
この硫黄を含むアミノ酸はフリーラジカルと戦うグルタチオンを作るために必要です。これは肝臓やリンパ球によって使われ、化学物質やその他の毒を中和します。また免疫システムに負担をかける環境汚染やたばこ、アルコールなどの害を減らします。L-システインの補助食品をとると体内で保護する酵素の量が増えるので、老化の特徴である細胞の損傷を少し遅らせることができます。
 |
| グルタチオン |
グルタチオンはアミ人酸のシステイン、グルタミン酸、グリシンから肝臓で作られるたんぱく質です。この強力な抗酸化物質は、フリーラジカルの形成を抑え、細胞の損傷を守ります。これは、たばこの煙・放射線・ガンの化学療法そしてアルコールなどの害からからだを守ります。重金属や薬の解毒剤として血液や肝臓の障害の治療を助けます。
グルタチオンはいくつかの方法で細胞を守ります。酸素分子が細胞に害を与える前に中和します。セレニウムと一緒になって酵素のグルタチオン・パーオキシダーゼを形成しますが、これは過酸化水素を中和します。
グルタチオンは細胞を守るだけでなく、動脈組織、脳、心臓、免疫細胞、腎臓、目の水晶体、肝臓、肺、そして皮膚を酸化による損傷から守ります。
 |
| アルファリポ酸 |
アルファリポ酸はビタミンc、ビタミンE、そしてグルタチオンの抗酸化作用の働きを強くして体内のフリーラジカルの影響を中和する助けをします。この栄養素のもう一つの特長は食べ物をエネルギーに変換する二つの重要な酵素の働きを助けることです。
 |
| ビルベリー(コケモモの類) |
ハーブのビルベリーは毛細血管の壁を強くするとともに柔軟性を保たせる強力な抗酸化物質です。これはまた赤血球の壁の柔軟性を維持する助けをすることで、赤血球が毛細血管を通過しやすくさせます。さらにこのハーブはコラーゲンの構造を強化し、バクテリアの成長を抑え、消炎剤として働き、そして老化防止と抗発ガン性効果を発揮します。
 |
| イチョウ |
イチョウは強力な抗酸化ハーブで、循環を良くする能力が最も知られています。これは狭い血管も押し広げて酸素を脳、心臓、そして体の全てに供給する能力を持っています。これはまた知能の働き(スマートハーブとしても知られる)を持ち、筋肉痛を和らげる働きもします。イチョウは血圧を下げ、血液凝固を防ぎ、そして老化防止の性質も持っています。
 |
| フランス海岸松樹皮エキス |
最近非常に注目されている栄養補助食品に、これは主として松の樹皮から抽出して作られます。これは純粋に自然なものです。
現在このフランス海岸松樹皮エキスは心臓病、血液循環障害、皮膚の問題、脳の機能低下、ストレス、炎症、スポーツでの怪我、花粉症、糖尿病、網膜障害、ガン、関節炎など数え切れないくらいの障害に対して使われています。これらの働きにはフリーラジカルが関係しています。フランス海岸松樹此エキスの原材料の松の樹皮に特別な水溶性のバイオフラボノイドが含まれ、強力な抗酸化作用の性質をもっていることがわかっています。またこれはビタミンEの50倍、ビタミンCの20倍というフリーラジカルを中和する能力があると言われ、ビタミンEやCがすぐに組織を通過してしまうのに比べ、血液中に72時間も留まり、より長くフリーラジカルからからだを守ることができます。また吸収が非常に早く、研究によると口からとった場合には20分で吸収され、摂取してから1時間以内に体中の組織に到達すると言われます。
 |
| ブドウ種子エキス |
ブドウ種子エキスには、フランス海岸松樹皮エキスと同じように、主な活性成分としてOPCs(オリゴメリック・プロアントシアニジン)が含まれています。OPCsはフラボノイドとして知られる化合物の分類に属し植物化学物質の中でも最も有益なものです。OPCsは酸化の広がりやフリ−ラジカルの増殖を抑える強力な抑制剤であり、ビタミンCやビタミンEの基本的な抗酸化作用の数倍も強力な抗酸化物質です。ブドウの種子からののOPCsは長年ヨーロッパで使われていて、湿疹の予防、静脈瘤や痔疾の治療、血圧降下、毛細血管の破損を防いだり、心臓血管の病気を少なくしたりするのに使用されています。これはガン性の腫瘍の成長を抑えるとともに月経前症候群を和らげます。
 |
| 緑茶 |
最近アメリカでは緑茶の抗酸化作用が知られて人気が出てきています。緑茶には抗酸化作用と健康増進の性質を持つフラボノイドのカテキンが含まれています。これはガンを防ぎ、コレステロールのレベルを下げ、血液凝固の性質を減らします。また脂肪の燃焼を促進し、血糖値とインシュリンのレベルの調整をするので体重の減量を約束することが示されています。紅茶は加工の段階で貴重な成分が破壊されてしまうので、この目的には効果はありません。
 |
| メラトニン |
日本では時差ぼけの解消に役立つとされているメラトニンが、もっとも新しい抗酸化作用を持つホルモンで、フリーラジカルのスカベンジャーであることがわかりました。ほとんどの抗酸化物質がある種の細胞のある部分にのみ働くのに対して、メラトニンはからだのどのような部分のどのような細胞にも浸透することができます。メラトニンは細胞内でDNAを含む核を特に保護します。ですから細胞の損傷を自分で修理することができるように守ります。またもう一つの抗酸化物質の、酵素のグルタチオンパーオキシダーゼを刺激します。
|
抗酸化補助食品の組合せ
これらの重要な栄養素を二つまたはそれ以上組み合わせた補助食品もあり、バランスの取れたマルチ抗酸化物質を手に入れることもできるようになりました。多くの異なる製品を別々にとるよりも、これらのマルチ抗酸化補助食品をとるほうが便利です。
(ニュートリション 川田昭雄/著 JNF日本ニュートリション協会 参照)