
スポーツパフォーマンスの向上に「クレアチン」 |
1992年バルセロナオリンピックの陸上100m走で金メダルに輝いたリンフォードクリスティが使っていたことで話題になり、最近では多くのメジャーリーガーや格闘技選手も使っているサプリメント「クレアチン」。でも一体何?
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| クレアチンについて |
クレアチンはアミノ酸の一種、アルギニン、メチオニン、グリシンから成る物質で、体内では腎臓、肝臓、膵臓で作られます。最近の研究では、クレアチンの摂取とトレーニングによって体重の増加それも筋肉のサイズや筋量(除脂肪体重)が増えるという結果を得て話題になっています。クレアチンのスポーツにおける働きとしては主に、瞬発力を必要とする祭のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)を生み出し、筋肉疲労の一因となる筋肉内の老廃物、水素イオン(酸化物質)を掃除してくれます。
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| ● ちょっと詳しく ● |
ATP=アデノシン三リン酸は、アデノシン+三つのリン酸からなっています。ATPは三つのリン酸の内一つのリン酸を放出してADP(アデノシン二リン酸)となります。また瞬発力を必要とする運動などで生成される乳酸が蓄積されると、水素イオンが発生し筋肉中のpH(ペーハー)が酸性に傾き、筋肉疲労を感じやすくなります。
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| クレアチンサプリメントを摂ると? |
クレアチンが筋肉内に取り込まれ、クレアチンリン酸としてADPにリン酸を与えてATPを再合成します。(もう、一度“エネルギー”となる要素を生み出します。)またクレアチンには乳酸の生成を抑える働きもあります。(筋肉中のpHを中和する。筋肉疲労までの時間を延ばす。)簡単に言うと、筋肉疲労までの時間が延び、エネルギーを再び生み出せる。つまり、今まで以上にトレーニング・運動のレベルが上がるわけです。となれば結果もよくなる。
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| ● ちょっと詳しく ● |
クレアチンサプリメントを摂ることにより、筋肉内のクレアチンリン酸の貯蔵量を約20〜30%程増すといわれています。エネルギー源となるATPを再合成する。筋肉疲労の一因、乳酸の生成を抑える。この二つの役割を果たすクレアチンリン酸の貯蔵量が大幅に増えるため、筋力やパワーをより発揮でき、今まで以上にネバれるというわけです。
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| そんなにいいものってドーピング大丈夫? |
クレアチンは筋肉内に存在する物質ですからIOC等の禁止薬物ではありません。ちなみに、肉や魚にもクレアチンは含まれています。しかし5gのクレアチンを摂るためには、肉なら約1kg!魚では約500gも食べなければなりません。
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| クレアチンサプリメントの摂り方は? |
クレアチンサプリメントを摂る場合、“ローディング期”と“メンテナンス期”を設ける摂り方が一般的ですが、最近ではローディング期は必要ないと言う報告もされています。ローディング期間(約5日間)は小さじ一杯(約5g)を1日4〜5回(合計20g)、食後やトレーニング前後に摂り、メンテナンス期からは、1日に小さじ一杯弱(3〜5g)を摂る。ジュースのような炭水化物を含む飲み物と一緒にクレアチンサプリメントを摂ると、インシュリンのレベルを上げクレアチンの体内への取り入れをサポートするといわれています。また、クレアチンサプリメントを、一度熱湯に溶かしてから飲むと吸収が高まります。
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| 病気の人には? |
クレアチンは,現在運動選手の間で最も普及しているサプリメントです.健常者が運動能力向上のために経口摂取するクレアチンを,筋ジストロフィー患者が筋力低下の防止を目的に服用し効果があったという報告があります.「筋ジス臨床研究班」でも治療経験が報告されております.クレアチンは,サプリメントとして処方箋なしで買うことができますが,患者様が服用することは想定されていません.患者様における使用経験はまだ限られたもので,その有効性・安全性は確立してはいません.筋ジストロフィーの方が治療として服用することは,現段階では医師の処方箋に基づいて出される医薬品以上の注意が必要です.クレアチンによる治療を希望される方は,是非筋ジストロフィーに詳しい専門医療機関で御相談になることをお勧め致します.
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| クレアチンは病気の人でも有効? |
クレアチンの投与でもっとも期待されるのは,細胞のエネルギー供給量の増加です.このため,エネルギー代謝に異常のある疾患で高い効果が期待できると考えられます.最初に,ミトコンドリア脳筋症や糖原病などの代謝性疾患で有効性を認めた症例の報告が出されました.その後対象疾患が徐々に拡大され,現在では筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症,頭部外傷,ハンチントン病などでも使用例が報告されています.しかし,これまでに有効性が確立した疾患はまだありません.
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| 筋ジストロフィーでも有効? |
クレアチンには筋ジストロフィーそのものを治す能力はありません.筋ジストロフィーに対するクレアチンの効果は,今の時点では明らかでありません.筋ジストロフィーではエネルギー代謝の異常を認めませんが,クレアチンの投与によりエネルギー貯蔵量が増えることで運動による筋肉の破壊を防止できる可能性が期待されます.
国立療養所刀根山病院で,顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーや筋強直性ジストロフィーの患者様を含む30名程度で2ヶ月間クレアチンを投与(導入期1日20g,維持期1日5g)してみたところ,わずかですが筋力の増加を認めました.しかし,筋肉内のクレアチンの量には変化が見られず,これが本当にクレアチンの効果かどうかは確証できていません.
国立療養所川棚病院で,重症の筋ジストロフィー(電動車椅子使用,人工呼吸器は未使用)の患者様5名に1年間クレアチンを投与した研究(初期3ヶ月1日5g,以後1日2.5g)では,5名中4名で筋力が維持され,筋細胞破壊の指標となる血清CPK値は全例で改善していました.呼吸機能では経時的な悪化がやや抑制されていました.しかし,これらが本当にクレアチンの効果であるか確認するためには,より多くの研究結果が必要です.
海外でも,筋ジストロフィーに対する研究がなされており,結論はもう少し待つ必要があるでしょう.
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| 小児の筋ジストロフィー患者が服用する際の注意点は? |
クレアチンは成人のスポーツ選手を対象とした研究がほとんどで,病気の患者様や特に小児に対する作用はわかっていません.投与量だけを考えた場合,体重が少ないのでクレアチン投与量も少なくなると考えられますが,それが本当に適切なのかについては不明です.また,成人では現れない副作用が生じる危険性もあります.いずれにせよ,クレアチンの服用については筋ジストロフィーの専門医療機関でよく相談した上で決めて下さい.
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| クレアチンに副作用はありませんか? |
クレアチンは肉などの食物に含まれているアミノ酸の一種であり,通常量の服用では問題はないと思われます.しかし,サプリメントとして大量のクレアチンを服用すると,分解産物であるクレアチニンの血中濃度が増加し,結果的に尿量が増加して腎臓や心臓に負担をきたす可能性が考えられます。
一般的に,クレアチンは食後に十分な水分と一緒に服用するよう勧められています.十分な水分が必要な理由は,クレアチンの服用で脱水が生じやすいためです.食後に服用するのは,クレアチンは食後に吸収されやすいからです.比較的多く見られる副作用としては,食欲増進,発汗などが挙げられています.
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